産婦人科医監修|化学流産(生化学的妊娠)とは、妊娠検査薬で陽性が出たのに、その後の超音波検査で胎嚢が確認できず、妊娠が成立しなかったことをいいます。生理のような出血がある以外は、自覚症状がないのが特徴です。ここでは化学流産の原因や症状、化学流産後は妊娠しやすいかについても解説していきます。
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化学流産とは?原因は?
化学流産(化学的流産)は、妊娠検査薬でhCGが検出され、陽性の診断があったにもかかわらず、超音波検査で胎嚢などが確認できない状態です。つまり、受精はしたけれども着床が継続せず、妊娠成立しなかったものをさします。
生化学的には妊娠していたため「生化学的妊娠」と呼ばれることもあります。化学流産は日本産科婦人科学会の定義上は流産ではなく、流産回数にも含まれません。化学流産の原因は明確になってはいませんが、ほとんどのケースが受精卵の染色体異常によるものだといわれています。
もともと、受精卵の半数近くに染色体異常がありますが、そのうち約半数が着床するといわれています。受精卵全体でみると25%が着床することになります。着床した染色体異常がある25%の受精卵のうち、10%が化学流産となり、15%は妊娠継続後に流産や子宮内胎児死亡という結果を迎えます。(※1)
受精卵の染色体異常は、誰にでも一定の割合で起こるので、化学流産を防ぐことは難しいといえるでしょう。化学流産は定義上「流産」とはなりませんが、一般的な流産における染色体検査では、約60%に染色体異常が認められ、年齢が上がるとともに頻度も上がると報告されています。(※2)
化学流産と生理の違いは?

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化学流産の場合、妊娠が成立しなかった受精卵は経血と一緒に排出されるため、生理が来たと勘違いしたまま気づかない人も多いようです。妊娠が成立する前なので、妊娠の兆候もほとんどないのが一般的です。
生理との違いは、尿中にhCGの反応があったかどうかです。hCGは妊娠している女性だけが分泌するホルモンです。妊娠検査薬に陽性が出たときや、病院の尿検査でhCGが50Ul以上検出されたときに、着床したことが判明します。
その後、胎嚢が確認できず、妊娠継続とならなかった場合に化学流産となります。出血の時期も違いのひとつです。個人差はありますが、化学流産では生理予定日よりも1~2週間ほど遅れて不正出血することが多いようです。生理不順の人は生理が遅れることも多いので、出血の時期だけでは化学流産と断定できないかもしれません。